こんにちは。よりみちねこです。

さあ、高視聴率をキープしていた朝ドラ
「あさが来た」が4月1日に幕を閉じた。

半年間、ひたすら面白かった!

直前の「まれ」がこけたので、
余計に。

「あさが来た」は様々なことを伝えていた。

まず、白岡あさという人の存在。
実際には、広岡浅子という、現・大同生命を創りあげた人物。
日本女子大学の設立に尽力をつくした人。
こんな女性がいたことを初めて知った、という人は意外と多いのでは?
あまり記録も残されていないらしいので。
江戸時代に生まれて、維新を経験し、明治、大正と怒涛の時を生き抜いたひとりの女性。
女性の地位向上につながる活躍をした偉人、といったところだろう。
が、細かいことを言えば、裕福な家に生まれ育ち、嫁ぎ先も豪商というのは、庶民感覚からすれば実はこの物語はあまり参考にならないのかもしれない。
とはいえ、ひとつのサクセスストーリーではある。
時代を先取りする痛快、豪快、奔放な女性の。

この物語には、ちょとした胸キュン恋話もところどころに用意されていた。
あさ(波瑠)と姉・はつ(宮崎あおい)とその許嫁・新次郎(玉木宏)惣兵衛(柄本佑)。
そもそもは、あさ→惣兵衛、はつ→新次郎、だったが、
惣兵衛の家、山王寺屋が、おてんばなあさを嫌がって、はつを嫁にすることにした。
このことをのちに知ったはつは、少なからず思いを馳せる。
新次郎と結婚していたらどんな人生だったのだろうか、と。
なにしろ、惣兵衛は母親に支配されたいささか偏屈な男だったから。
はつが新次郎に、どうしてあさを選んだのか?と尋ねるエピソードもあった。
破たんした山王寺屋は、あさとはつの実家今井家から譲り受けた和歌山の土地でみかん農家を営むことになるが、のちに惣兵衛の父母も、商才のあるあさが嫁いで来てくれていたら山王寺屋はつぶれなかったのだろうか、と夫婦の会話シーンもある。いいや、うちにははつしかいない、と夫婦二人、今の幸福を味わうほのぼの場面。

あさのお付き・うめ(友近)と加野屋の大番頭だった雁助(山内圭哉)の恋は、気持ちをおさえた結ばれない大人の恋。
秘めてるけど、み~んなにはバレている。そして結ばれないことを気遣ってくれている。
最終週では、雁助の女房も亡くなり、手紙のやりとりをする約束をする頭髪の白くなった二人。
うめの人生はあさとともにあったんだよにゃ~。

視聴者たちが一丸となって応援していた、加野屋の亀助(きすけ・三宅弘城)とはつのお付きで途中から加野屋に来るふゆ(清原果那)の恋。
ふゆは、実は新次郎に片思いだった。
それをそっと見守っていた亀助だったが、ふゆの実家からの縁談話を機に騒動が起き、プロポーズすることに。
亀助役の三宅弘城のもとには、この放送があった日、大勢の人たちから「おめでとう」メッセージが届いたらしい。

ふゆと言えば、
新次郎とあさの間に子供ができないことを気にかけた母・よの(風吹ジュン)が、妾を探すエピソードもあった。
新次郎のお妾さん第一候補は、新次郎の三味線のお師匠さんだったが、ふゆもそのひとりだったとあとから聞いたふゆは、お妾さんでもいい、と思ったこともあった。
妾については、あさも一時そうしてほしいと決心したが、やっぱり嫌だと悩むシーンはいじらしい。
もちろん、新次郎は妾のことなど思いもしていない。

なんといっても世間の女性たちがキュンキュンしたのは、五代さまだろうか?
五代友厚(ティーン・フジオカ)の心にはいつもあさがいた。だからこそ、応援した。
商売、大阪、社会、日本の発展のための提案、活動、そして期待に応えてくれる女性、それがあさだったのだろう。
大久保利通が暗殺されたときには、悲しみのあまり自暴自棄になり、ついにあさに慰めてほしいと迫る。
あさは五代を見守る。
あさは、珍しいくらい品行方正な女性だ。心すらなびかない。そんな表現だったように思う。
あさ役の波瑠は、この場面をどう演じていいか悩んだ、とは本人談話。突き返すのも変だし、受け入れるのもどうなんだろう・・・。
このあとのシーンにあさの心を入れてほしいと頼んだということだ。
実際、東京のガス灯の綺麗な灯りの風景を千代にも見せたかった、と土産話をするシーンで、心はいつも家族にあることが表現された。
五代友厚役のディーン・フジオカも、五代さまとともに人気急上昇。

最後に恋を叶えたのは、あさの娘・千代(小芝風花)
あさが入院中に病院で出会った帝大生・啓介(工藤阿須賀)
一度は別れるが、祖母・よのの人生最後の大仕事により、二人は結ばれる。

夫婦の形も色々だった。
あさの両親、新次郎の両親、はつの嫁ぎ先の両親・・・・、
そしてもちろん、あさと新次郎。
あさと新次郎は、才能ある女性からすればなんと理想的な夫婦像だろう。
女房をささえる夫。
平成の世にだってまだまだ(?)珍しい夫婦の形ではないか?
そういう意味でも、現代へのメッセージだ。
いろんな形があっていい。

今の世へのメッセージはまだある。
実は、よりみちねこは、後半途中から、な~んだ、結局商売で成功したお嬢様の話かぁ、
とちょこっとだけ冷めた目を持った。
だが、最終週。次のようなセリフがあった。
新次郎の命がもういくばくもないと分かって、どんな薬をつかってもいいから助けてほしいとすがるあさに向かって医者が言う。
なんぼ力をつくしても、お金があっても、どうにもできないもんがあります。
それは、決められた命、寿命です。 


あさは、それはそれは苦労して、維新も乗り越え、不況も乗り越えてきた。
誰にでもできることではない。
それでも、家柄や実家からの援助ということは、それなりあった。
女子大学校の土地も、今井家から目白の土地を譲られている。
そんな奇跡はめったにあることではない。
ある意味、お金があれば何でもできる、はその通りだ。
いや、逆に言えば、お金がないとできないことはたくさんある。
しかし、いくらお金があってもできないことがある。
人を死なせないこと。

この物語には、死の場面がふんだんにていねいに出てくる。
あさ自身も、道端で刺され、死の淵を彷徨う。
よりみちねこがかなり感動したのは、惣兵衛の死だ。
あれだけ悩みの深かった惣兵衛。いっときは家を出てばくちに明け暮れ、
母親を刺そうとまでした惣兵衛。
その惣兵衛が
「ええ人生やった」
と死の床で家族たちに心のそこからふりしぼってつぶやく。
柄本佑の染み入る演技が泣かせる。
自分の人生をぜ~んぶ背負って死んで行く。幸せに変えて。
すばらしいシーンだった。

人は「生きて死ぬ」そのことをじっくりと描いてくれたドラマだった。

どう生きるのか、それが大事だ、と教えてくれている。
まさに主題歌「365日の紙飛行機」だ。
その距離を競うより 
どう飛んだか 
どこを飛んだのか 
それが一番大切なんだ

さて、最終話。びっくりぽんな演出があるということで楽しみにしていた。
よりみち的には実は、な~んだ、だった。
もしかしたら、村岡花子が出てくるのかな、なんて思った。
山梨の別荘で夏に開いていた広岡浅子のサロンに、 村岡花子も参加していたそうなので。
写真が残っている。
「花子とアン」のはな、吉高由里子でも出て来てサロンに参加していたらびっくりぽんだと思っていたが、
・・・やっぱりそんなことはなかった。
あたりまえやがな。

いえいえ、
すばらしいラストシーンだったよ。
新次郎亡き後。
若き日の新次郎とあさが、太陽と風のなかで、笑顔いっぱいにいだき合う。


ところで、ヒロイン役の波瑠。
これが4度目の朝ドラオーディションだったそうだ。
「てっぱん」「あまちゃん」「純と愛」「あさが来た」
「純と愛」でもよかったのにな、とちょっと思ったよりみちねこだけど、
今となっては、白岡あさがはまり役だったにゃ

人はなるべき通りになっていくんやな。

良質のドラマだった。
出演者もみな、好演していた。
うまい役者揃い。
イメージアップにもなってるにゃ。

最終話からあさのセリフ。
山梨のサロンで若い女性たちに向けて。
これは、ちょうど今の日本に、世界に向けてのメッセージとなっている。
脚本家・大森美香の今後のドラマに期待。
劇伴の作曲をした林ゆうきにも拍手。

みなさん、知っての通り、うちは江戸の世の嘉永生まれのおばあちゃんだす。
うちらの若いころはなぁ、電話はもちろん郵便もあらしまへん。馬車や汽車かてあらしまへん。 
誰かになんか伝えたい思うても、脚絆はいて、ひたすらいくつも山こえるしかあらへんかったりしたもんだす。
それがほんま便利になって。
うちは昔のほうが良かったやなんて、ちょっとも思うてしまへんのやで。
そやけどなぁ、なんでだす?
国が育ったら、もっともっとみんな幸せになれる思うてたのに、
こな生きずらい世の中になってしもうたんは、 なんでなんだすやろな?
戦争は、銃や大砲で人傷つけて、
新聞や世論は人を悪う言うたり、勝手な批評して、人の心傷つけるばかり。
みんなが幸せになるための武器は、銃でも、大砲でも、悪口でもあらしまへん。
ここ(頭を指差す)、と、ここ(胸に手を当てる)だす。 
人の気持ち慮ることのできる優秀な頭脳と、やらかい心。それさえあったら、それで充分なんだす。
その分野でいうたら、おなごはんは決しておとこはんにひけとらしまへん。
いや、おとこはん以上にその力、大いに使うことがでけます。
まあ、うちの旦那はんは、うちよりやらかいお人だしたけどな。
若いみなさんは、これからどないな職業についても、家庭にはいっても、
その二つがあったら、大いに人の役に立つことがでけます。
日本どころか、世界の役に立てることが、この先ぎょうさんありますのや。
どうか、どうか、しょげてなんかいてんと、
よう学んでがんばっとくなはれな。



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