よりみちねこです。
こんにちは。

今季ドラマもいろいろあるけど、
記事タイトルの観点から、2ドラマについて喋るよ。
 
「エイジハラスメント」テレビ朝日 木曜日夜9時
「37.5℃の涙」TBS  木曜日夜9時
曜日、時間がかさなっているのが残念。録画して観よう。 

「エイジハラスメント」
一流商社「帝都物産」の新入社員、吉井英美里(武井咲)は、
希望していた繊維部ではなく総務部に配属され不満。
しかし、社内に溢れる「エイジハラスメント」を見聞きし、
自分も巻き込まれていくなか、英美里の疑問は爆発していく。

このドラマに新鮮さを感じるのは、つまり、
若く美しい女性(英美里)と若作りの女性社員(派遣含)たちの対立という、ねちねちした昔よく見かけたタイプのストーリではないらしいぞ、
というところ。
女同士のライバル対決に、男性がからんで、結局は男性の目を引くためだけの女性、みたいな構図、ではなさそうだ、というところ。
なさそうだ、というのは、まだ2話目が放送されたばかりで、この先どう展開するのか分からないから。

英美里は、ピチピチとしたはじけるような若さと美貌を携えて総務部へやってくる。
男性社員の注目を集める。だが、英美里には、その若さと美貌を使ってのしあがろうとする気持ちは全くない。
むしろ、男性社員たちの女子社員へのハラスメントの酷さに唖然とし憤然とする。
物語のクライマックスで、英美里は「キレる」。
そして「てめぇ、五寸釘ぶちこむぞ」とつぶやく。
これは、北海道にいる父から教えてもらった辛いときのおまじない。
英美里はエジハラへの反論と本音を滔々と語りだす。問題点は何なのか、いかに男どもがバカか、などなどを一気に大声で解説する。
英美里の持論を聞いて問題の渦中にある人は黙り、気づく。
そのあと当事者が別れるとか辞めるとか決断すると、
「待ってください。熱いときに決めちゃいけないです。返事は明日にしてください」と言う英美里。
これは、第一話で、我慢していたエジハラにとうとう爆発して辞めていってしまった親切な先輩(田畑智子)の姿を見たことが言わせているのかな?

英美里はもちろんあとで叱られるけどね。

美人で若くて嫉妬されて・・・となると、
たいていは、その続きの展開は、いじめと忍耐そしてバトル。
そうした病んだいやらしさがなくてすっきりしてる。
本音を我慢しない。いじわるの本音じゃないよ。正義の本音。
へえ、そういう展開かぁ、というのが率直な感想。


「37.5℃の涙」
笑うのが苦手な杉崎桃子(蓮佛美沙子)は、保育園の先生の契約を打ち切られる。
訪問型病児保育の「リトルスノー」に拾われ、病児保育士として再出発する。
 
『37.5℃』は実は働く親にとっては馴染みのある数字。
子供の体温がこのボーダーラインを越えると保育園から「お迎えコール」がかかり、
仕事中でも子供を迎えに行かなくてはならない。(ホームページより)

「訪問先の家庭では、注意しない、叱らない、自分の価値観をおしつけない」
という病児保育三原則とやらを言い渡されているが、
桃子は、思わず口を出してしまう。
親子の関係を見て、その不具合を改善しようと思って。
それは、まさしく本音なのだ。
本音を言われた利用者は、大きなお世話だといっとき腹を立てるが、
のちに思い直して感謝すらする。そして前向きに歩んでいく。

一話完結の上記ストーリーとは別に、桃子のトラウマ的ストーリーがある。
桃子は母の愛を全く受けずに育った。兄と姉はかわいがられ、桃子は邪魔者扱い。
その恐ろしい家族が、入院中の父親の面倒を看させるために桃子の行方を捜している。
 
桃子は、子どものころに受けることのできなかった愛を、
病児保育の仕事を通して知り得て、そして癒されていく。

桃子の親子関係はどのような展開になるのか、いささか心配だが、
きっと乗り越えてくれるだろう。


「エイジハラスメント」「37.5℃の涙」
本音を発信する女の物語だ、とよりみちねこは思った。

その「本音」は「正論」であり、いわゆる「正義」でもある。
誰かを助けようとする思いが根底にある。
自分にふりかかった出来事を払拭しようとするとか、
ただの自己防衛や自己保身でもない。
 

「エイジハラスメント」の英美里は、
キレる→言う→気づかせる
「37.5℃の涙」の桃子は、
感極まる→行動・言う→気づかせる

英美里は客観的で論理的。
桃子は感性豊かで自然体。
英美里は分析能力に長け、桃子には鋭い感覚がある。
 

正義感をぶちまける女は、これまでの他のドラマにもいた。
「曲げられない女」日本テレビ2010年1~3月 遊川和彦脚本
「ダンダリン 労働基準監督官」日本テレビ2013年10~12月
「問題のあるレストラン」フジテレビ2015年1~3月 坂元裕二脚本
「花咲舞が黙ってない」日本テレビ2014年4~6月+今シーズン
このタイプ、日本テレビが多かったんだにゃん。 

今シーズンの「花咲舞は黙ってない」。
これも、きっぱりはっきり、そこまで言うなするな、ってことをしてしまう。しかしそれが問題に解決につながる、という物語だ。
よりみちねこは、前シーズンを観ていない。高い視聴率だった。
今シーズンは1話目を観た。
よりみち感想的には、水戸黄門?って感じだった。
つまり、花咲舞(杏)は、銀行の本店から各支店に不祥事を検査しに行く臨店という部署の職員。
池井戸潤の小説が原作ということだが、よりみちねこにはそれほどの魅力はない、かな。

「問題のあるレストラン」は、
よりみちねこも記事を書いた。面白く、痛快なファンタジーに仕上がっていたと思う。
田中たま子(真木よう子)も、友人を守るために行動を起こす人。
性格はちょうど、上記の英美里と桃子を足して2で割ったような女性。
腹を立てていささか感情的な行動も起こすけど、しっかりと計算もしている。
返す言葉が洗練されていて深みがある。

「ダンダリン」は、
労働基準監督官の段田凛(竹内結子)が、
弱い立場の労働者の不条理な処遇を許せず、問題解決に奔走する。
許せないことに突き当たると、顔をしかめて憤慨する。

「曲げられない女」は、
よりみちねこも大好きなドラマ。
荻原早紀(菅野美穂)は、弁護士を目指しているが、司法試験に落ちまくっている。
曲がったこと、間違ったことが大嫌いで、弱い人たちを助けたい気概に溢れている。
公憤に満ちたときの人をつかまえる力が半端ない。
 

普通の世界では、キレて叫んだら、その人はもう終わりかもしれない。
あいつはキレやすい、とかで流されることもあるかな。

ドラマ仕立てと言えばそれまで。

よりみちドラマ評では、
ドラマの持つファンタジーというパワーの積極性や影響力を説いている。

人を思いやっての正義感、
それを正義という名で呼ぶかどうかは別として、
困っている人を助けようとする心、
理不尽な出来事を正常にもどそうとする思い、
そうした慈愛の気持ちから流れ出る言動、すなわち本音、本当のところを、
表現し、それに気づく人たちが現れるということが、その場を明らかにし、明るくしてくれる、
というのが夢物語ではないと信じている。

現実の世界は、たいてい、
マイノリティやサイレントマジョリティたちの我慢や犠牲の上に成り立っている。
その構造は特定の立場のみならず、あらゆる階層のなかに存在する状況だ。

変えていける、
ということを痛快に知らせてくれるドラマだ。

英美里と桃子の、問題の受け止め方と表現方法に違いはあるが、
誰かのためを思ってなされる行為であることは共通している。
面白い。

英美里は強い女性。
桃子は弱々しく見える。
もしかしたら強い人はどこかでポキッと折れるかもしれない。
一見弱く見える人は、しなやかに乗り切っていくかもしれない。
理想としては、バランスよく、両方あわせ持ちたいものだにゃん。 

本音を素直に言う、
裏表がないという意味では、
「純と愛」の純にも共通するものがあるか。
それはまた別の機会に。

あえてドラマを楽しもう