こんにちは。よりみちねこです。

「過保護のカホコ」日本テレビ 水曜日夜10時
高畑充希主演


夢破れたとき、人は慰めてなどほしくない。
とくに能天気な人からは。

やはりこのドラマは、ただの過保護に育った娘と過保護に育てた親の物語、
ではない。
だから過保護はいけないんだ的教訓批判ドラマではない。
その視点で観ると、たぶんドラマの魅力が全くなくなる。

根本加穂子(高畑充希)は、箱入り娘だ。世間知らず。
つまり、汚れがない、悪意を知らない、裏も表も知らない箱入り人間の目を通してみる社会、人間を描いている。

「Q10(キュート)」(木皿泉)の未来から来たロボット。
「泣くな、はらちゃん」(岡田惠和)のマンガの世界から来たはらちゃん。
「吾輩は主婦である」(宮藤官九郎)の夏目漱石が乗り移った主婦。
「サムライせんせい」(石黒勉)の侍・武市半平太。
など、
現代社会と違う視点から現代を観察するという批評検討精神も交じったドラマと
同種の枠で眺めたほうがよさそうだ。

第2話は、
いとこの糸ちゃんがチェリストになる夢に破れるというエピソード。
カホコは、自分に合った仕事は何かと探し回り、父、祖父母、おじ、おばたちにも話を聞いて回る。
そんななか、糸ちゃん(久保田紗友)のコンクールがあった。
腕が動かなくなってしまい失敗してしまった糸ちゃんを励まそうと、
あきらめない方法を様々探し出して提示するカホコ。
そんなカホコに糸はブチ切れる。
あんたが一番嫌いだった、と。

罵声を浴びせられたカホコ。初めての経験。
同じ大学で画家を目指している麦野くん(竹内涼真)に、悪意に触れたことがないんだな、と言われる。
人には裏の顔と表の顔がある、と知らされるカホコ。

多かれ少なかれ、社会に出た若者たちはこのようなショックな場面に出くわすだろう。
そして、大人になるということは裏表をつくるということだ、と知る。
「すれる」とは、そういうことだ。

ただの能天気は困りものだ。サイコパスに近いかもしれない。
しかし、カホコの入っていた箱のなかには「愛」があるようだ。
いや、人間誰しも本当はそうであるはずだ。
純粋に育っていれば自然と「愛」の気持ちで行動するはず、
なのだが・・・、現実はどこかで行き違っているようだ。
現実世界では、そうした優しさが受け入れられない場面が多い。

麦野くんは、カホコに意地悪だがカホコの慰め役になっている、今のところ。
そして、社会の実相を教えてくれる役割。
最終話までに彼はどう自分の夢と向き合うんだろうな。


ドラマを楽しもう📺🐈