よりみちねこのドラマカデミアへようこそ!


ドラマファンのドラマの楽しみ方は多種多少で、様々な視聴方法がある。
合わせる焦点によって、そのドラマが面白くなったりつまらなくなったりする。
単なる好き嫌いもある。
それらの間口が広いと視聴率は高くなるのかもしれないが、
視聴率の高さとドラマの質の高さは必ずしも一致しない。

ドラマの見方としては、
出演者、脚本家、原作、種類(恋愛・サスペンス……)、ドラマ(予告も含む)をまず観て面白かったら見る、視聴率が高いから見る、視聴率が低いから見ない、などなど。
もしかしたら内容を深く読み取るという見方をしている人は少ないのかもしれない。
よりみちねこは、その少数派なのかもしれないと、ようやく気付いた。

毎シーズン新ドラマが始まった時点で、ドラマについて放談する番組があるのだが、毎回楽しみに観ている。
けっこう鋭い指摘も多く、勉強になる。
当たり前だが、彼らの評価と一致するところと一致しないところが毎回ある。ところが今冬はことごとく一致しておらず、いささかショックを感じた。
よりみちねこが視聴をやめた「もみ消して冬」「きみが心に棲みついた」を高く評価している。
「きみが心に棲みついた」については、ひとりは高評価、もうひとりは今季ワーストとは言っていたが。「もみ消して冬」については、さらにもうひとりがそのドラマのつくり方についての評価をしながらも、自分はあまり好きではない、と言っていたが。

よりみちねこが高く評価している「海月姫」
これについては、ベテラン評論家が一押しドラマにあげていたが、目の付け所が違っていた。
あ、このドラマってそこを見るの?確かにフジテレビの月9だし?
つまり、「ドタバタはしているが、恋愛の構図がしっかり描かれているシンデレラストーリーだ」と。
そうか、それか、とちょっとがっかりしてしまった。いや、他人の意見に左右されるわけではないのだが。
たしかに、オタクでおしゃれもせず自己評価の低い女性が、男性のパワーできれいになっていく、しかもそこに三角関係が……という胸キュン物語なのかもしれない。原作もそうなのかもしれない。
が、そこに視点が合っていたら、よりみちねこはたぶん視聴をやめている。なぜならその手の単純な恋愛ドラマが全く好きではないからだ。
よりみち視点は、「男子禁制アパート天水館に暮らす5人のオタク乙女(尼~ず)たちの個性のすばらしさ」に、初回放送で合ってしまった。
ある評論家は、今これをやる意味が全く分からない、と言って、局側の背景を匂わせる発言までし、そしてさらに、今この時代にオタク女子の生態をコケにするっていうのが本当に受け入れられるのか、尼~ずのみなさんが同じように見える、などと評していた。
よりみち視点は違う。オタク女子の生態をコケにしているどころか、彼女たちの個性とその個別の能力の高さに目を見張る。いわゆる世にオタクとかニートとか言われて(コケにされて?)いる人たちも、実は繊細なだけで、つまりこの世的に打たれ弱かったり、ずうずうしくなかったりするだけで、能力、才能を適材適所で使えていないだけ、ということも多いのだろうと思う。映画「新・ゴジラ」でも、御用学者よりもオタクの人たちの方が能力が高く、危機を救ったのではなかったか?
なので、コケ扱いもされていないし、みんな同じにも見えないのです、よりみちねこには。
悪役がコミカルに描かれているのもいいし、良くない思いを抱いてしまったときに反省するところ(修が月海のことを勘違いし、気色悪いなどと思ってしまったこと)もいい。

よりみち高評価の「隣の家族は青く見える」
これも、妊活の焦点がぼやけてしまってもったいない、「コウノドリ」のようにもっと深掘りできたのに、深掘りできるテーマだ、という意見で一致していたが、そこなんだ、本当は?
よりみちねこは、十分に妊活の現状とか方法とかが分かって、へぇ~という発見も多い。そして、評論家たちが言っている、他の家族の問題も描くことで焦点がぼやける云々は、逆に良いと感じている。だからこそ良いと感じている。
同じ住宅に暮らす4家族がそれぞれに抱えている問題、生き方が主役の妊活夫婦とともに描かれているからこそ、見ごたえがある。
ある評論家によると、ネットのガールズチャンネルでトピックとしてあがってくるものばかりをぎゅっと詰め込みました、にすぎないそうだが、そうだったとしても、現実に多い出来事なのだと思うので低評価の要因になり得るのか。もうそういうテーマは飽きたよ、ということなのかな。
妊活のテーマは、ドラマでそこだけあまり深掘りされたことがないかもしれないから、その他のテーマは手垢がついている、ということなのだろうか。
不妊に悩む主人公・奈々が、義理の妹の妊娠を心から喜べなかったと正直に夫に語るところなど、今までにない心の吐露だと思う。これまでだと、そこで心を病んでドロドロにみたいなパターンが多く、それを面白がる視聴者、そして視聴率が上がる。

よりみちねこは、現実世界はいささかきな臭く、歪み、嘘がまかり通っているが、ドラマの世界は洗練されていって、ポジティブになって、次第に仮面がはがれていっているような気がしている。
ドラマというのは、世相を描くのみならず、世相を引っ張っていく役目もあるのではないか、と思う。

「海月姫」と「隣の家族は青く見える」の共通点は、
「多様性と尊重」の世界観を提示してくれているところだ。
あくまでも、よりみち視線だが。

つづく