よりみちねこのドラマカデミアへようこそ!


「FINAL CUT(ファイナルカット)」カンテレ(フジテレビ)火曜夜9時
第5話


これはなかなかすごかった。
復讐相手のテレビ局関係者たちを、隠し撮りで追いつめてきた中村慶介(亀梨和也)は、
ついに、その報道番組の人気司会者・百瀬塁(藤木直人)にたどり着き、脅しにかかった。
「事実を報じた」という百瀬に、「報じれば事実になる」と食ってかかる慶介。
百瀬はいよいよ怯えるかと思いきや、なんと「私には秘密があります」と神妙な面持ちで慶介のつくった秘密暴露映像を自分の番組冒頭に流し、そして、「これはフェイクです」とあっさり言ってのけた。

秘密を握られて脅迫されているときには、その秘密を秘密でなくすればいいわけだが、
これはさらに上手。暴露してから「フェイク」にするやり口。

そして百瀬は、さらにこれを近頃話題になっているフェイク報道問題につなげていく。

トランプ大統領の登場で、現実の世界もフェイクばやりだが、
こうなると、なにが本当のフェイクなのか、リテラシーどころの騒ぎではなくなりそうだ。

フェイクだけではなく、印象づくりにも余念がないマスコミ。
いや、マスコミは、真実を正直に伝えてくれればいいのだが、
それもままならない世の中だ。

真実とは何だろう?

このドラマの場合は、慶介の母の冤罪というはっきりした事実があるわけだが、
犯罪者かどうかだって、本人の自白でしか分からないこともあるし、目撃者がいたとしてもグルである場合だってあるのだし、と考えていくとどこにも辿り着けなくなる。

日々の生活のなかだって、おいしくもないのにまずいと言えなかったり、行きたくないのに行くと答えたり、たいていの日本人は大丈夫じゃないのに大丈夫と言う。
そういうのはフェイクと言わずに思いやり、というのだろうが。

さて、慶介はここから先、悪とどう対決していくのだろう。
楽しみだ。


「anone」日本テレビ水曜夜10時
第5話


疑似家族の部分が描かれるのかな、と思っていたが違った。
その辺りはあさっり。

寂しい4人が集まって、普通に食事をしたり寝たり起きたり歯磨きしたり。

生きるのはむずかしい、と青羽(小林聡美)が言うと、
生きるんじゃなくて暮らせばいい、と言う亜乃音(田中裕子)。

生きることと暮らすこと、どういう意味の違いを脚本家・坂元裕二はこめたのかな?
いろいろな意味にとれるようにも思うが。
生きるは哲学的で、暮らすは生活的。

今のこの世で生活し、生きていくにはお金が必要だ。
さて来週は、偽札づくりが復活するのかしないのか、
という展開になってきた。

お金問題とは別に、
家族というのは血のつながりとは関係ないのかもしれない、
とふと思わせてくれる「お帰りなさい」だった。

青羽(小林聡美)がハリカ(広瀬すず)に言う「お帰りなさい」がいい。
「かもめ食堂」のサチエ(小林聡美)の「いらっしゃい」を思い出した。


「ファイナルカット」も「anone」も、
「フェイク(偽物)」を描いているんだな。


余談ですが、
亀梨和也と阿部サダヲがとてもよく似ている、と思う。