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「捜査会議はリビングで!」NHKBSプレミアム

NHK夜10時のこの枠は、面白いものもあればそれほどでもないものもある。が、たいていは面白い。
民放では今の時代、こんなドラマはつくらない、つくれないだろうなぁ、というものが多いように思う。そういうもののときは、非常に面白い。
「捜査会議はリビングで!」は、まさにそのタイプだった。

千葉県警刑事部特殊班所属の刑事である妻(観月ありさ)と、小説家だか小説では売れていない作家で主夫もつとめる夫(田辺誠一)。
両者とも、ご近所には職業を秘密にしている。とくに妻は特殊捜査班ゆえ刑事であることを世間に知られてはならない。
家族に秘密があり、それに敏感に気づいて探る近所の主婦がいて、息子と友人たち、学校、先生、交番のおまわりさん、そのなかで様々起きる事件、出来事。青少年ドラマ、あるいは平和なホームドラマの定番だ。
事件の起き方とその解決方法、張られた伏線とその回収が「よくできた」ドラマだった。
かつてNHKで放送していた、「双子探偵」とか「ズッコケ三人組」の雰囲気を思い出す。

民放の刺激の多いドラマや過剰の感動を望む視聴者は、物足りなさを感じるかもしれない。
起承転結の基本とでも言うのでしょうか、正統派のお手本のようなドラマ。平和ドラマ好きの私でもわさわさどきどきするドラマに慣れていますが、そんなまっとうな感想を抱いていました。

こういうドラマも必要だと思います。
社会がどんどん不健全になっている21世紀。
このようなドラマがなくなったとき、世の中はいわゆるディストピアになっているのかもしれません。
アメリカでは、「スタートレック」が放送されているうちはまだ大丈夫、と言っている人たちもいると聞きます。

観月ありさもはまり役だったのではないか、と思う。
田辺誠一は、最近NHKでよく見かけるな。今春シーズンの土曜ドラマ「やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる」では、「11人もいる」で親子役だった神木隆之介と共演して、なかなか存在感があった。
ただし今期、テレビ朝日「刑事7人」にも7人の刑事のひとりとして出演しており、個人的は同時期の別ドラマ出演はやめてほしい、と思っている私としては嬉しくなかった。
この夏ドラマにはそれがとても多いので、気になり度が非常に高かった。全てのドラマを視聴しているわけではないのに、である。
ちなみに、この夫婦の秘密に気づいて探りを入れる近所の主婦を鷲尾真知子が演じていたが、昨日の「刑事7人」最終話でも見た。
俳優は、顔もそうですが、声もみなさん特徴があるので、意識のなかでつながってしまう。例えば、あれ?刑事?さっき犯人だったのに…みたいな混乱も起こる。

俳優はたくさんいるだろうに、どうして同じ俳優ばかり使うのか。

秘密がばれないかどうか単純にわくわくしながら、ユーモアに笑いながら安心して観ることのできる、昔ながらの健全ドラマでした。