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「健康で文化的な最低限度の生活」フジテレビ(カンテレ)


まずは兎にも角にも、吉岡里帆復活!でよかった!極めて個人的感想です。
つまり、今冬に放送された「きみが心に棲みついた」があまりにひどかったので、いえ、吉岡自身ではなく、役に恵まれずかわいそうだな、と思っていたので。
「カルテット」のなかでも、主人公たちとは対照的な嫌な人間を演じたが、これは整合性があり、穏やかでコミカルな役が似合う(と私は思っている)彼女が好演した。

このドラマはタイトル通り「生活保護」についてのあれこれを描くドラマ。
生活保護受給者が年々増えているという今の日本。
私の周辺にも意外と「います」。

不正受給や役人の不手際、さらにその役人の心無い対応によって死んでいった人たちなどについてのニュースを、私たちは、テレビやネットから知ります。
確かに不正受給は言語道断。しかし、それを恐れて猜疑心のかたまりで市民を見すぎる役所の人間もどうかと思う。
このドラマのなでも描かれていたが、対応が不誠実な公務員、市民を見下す公務員は、ドラマのなかだけではなく、決してデフォルメではなく、必ずいます。
むしろ、吉岡演じる義経えみるたちのようなケースワーカーは稀だ、と言わざるをえないかもしれない。

ゆえに、こうした公的保護を受けなければならない状況になったとき、それは市民の権利なのだけれど、そんな不見識で横柄な態度の役人と対応して惨めな思いがさらに募るのであれば、死んだ方がましだな、と私は考えている。日本というのは弱者に冷たいだけではなく、権限を持った人たちが優越的立場で人を蔑む、という傾向があるようだ。近頃話題になっている、飲食店で客が店員に威張る現象というのも、同質だと思う。日本人の「性質(タチ)」なのだろう。つきつめると「人権意識の低さ」ということなのだろうが、この話題はまた別の機会に。

義経えみるのいる東京都東区役所生活課は、理想的な課だ。別世界のようだな。
川栄李奈演じるケースワーカー栗橋千奈は、相談者と別の役所に行って、そのあまりに辛辣な窓口の態度に激怒する、というシーンもあった。たいていがこっちである。
東区役所の人たちのような役人はまずいない、と言っても過言ではない。
人手不足や不正受給防止を言い訳にするが、それでは生活課の仕事をしていないのと同じだと私は思っている。

温かい言葉の一言、自分の状況を受け止めてもらえたという喜び、一緒に考えてくれる人の存在を感じる、たったそれだけでも人間は立ち直れるものだし、意欲も取り戻せる。

えみるは、辛い思いもしながら、考えながら、学びながら、まっすぐに相談者、利用者たちの心と現状に立ち向かう。どうしたら一番いいか、を考えていく。すぐにはどうにもならないこともあるだろうが、それでも少しずつ進んでいく。

こんなケースワーカーだったら、何かあったとき安心だけど……。

難を言えば、「生活保護」受給の条件や手続き、ケースバイケースをさらに詳細に分かりやすく知らせてほしかった。
どうしてもドラマチックのほうに心が奪われるので。
その点「隣の家族は青く見える」は、家族の形の多様性と公的手続きについて端的に詳細に描かれていたと思う。厚生労働省タイアップだから?でも厚労省がタイアップを決めたのは初回放送日前日だったらしいが。それほどよくできたドラマ、だったのか。いずれにせよ、勉強になった。

「健康で文化的な最低限の生活」、良いドラマだったと思う。今夏シーズンよりみちベスト3に入る、かな、ベスト5には入ります。
吉岡も役に恵まれたと思う。

もうひとつ難を言えば、
観たあとに、本当はこんな役所ないよな、こんな役人いないよな、とふと心のどこかで思ってしまうところ、だろうか。ペシミスト過ぎでしょうか?