よりみちねこのドラマカデミア

よりみち視点でドラマをアカデミアするよ。

2016年09月

よりみちねこのドラマの世界へようこそ!

さて、2016年夏期ドラマ終了評価第2弾。

「家売るオンナ」
「はじめまして、愛しています」
「HOPE~期待ゼロの新入社員~」

今期はドラマ途中で深く感動したり、大きなメッセージ性を感じてこちらへ記事をアップする、
ということはなかった。
先にも書いたが、
ストーリー展開をエンターテインメントとして楽しめるドラマが多かったように思う。
そのトップが
「家売るオンナ」(日本テレビ)
北川景子/イモトアヤコ/仲村トオル/千葉雄大


一話完結の不動産会社とそのお客を描いたコメディドラマ。
家を買う(売る)お客さんたちの人生や抱えている問題も描かれており、
そこに踏み込んでいくことで、新しい家とともに家族や恋人、人生問題まで解決してしまう。
いや、そこにつけ込んで、とも言えるのかもしれないが、
いずれせよ、「私に売れない家はない」と無表情で言い放つ三軒家万智(北川景子)が、その家を買った人たちを幸せにしていくストーリー。
三軒家のその哲学は、自らの家族と家にまつわる悲しい体験からきているのだった。
キャストも全員ぴったりだったように思う。
イモトアヤコもいい役ももらったのではないか?
北川景子のコメディタッチの演技が見ごたえあった。新境地を開いたように思う。
素直に楽しめるので、機会があればぜひご鑑賞を!


「はじめまして、愛しています」
「HOPE」はエンターテインメントとは違う。

「はじめまして、愛しています」(テレビ朝日)
尾野真千子/江口洋介


親子の葛藤と現代社会の問題を描く遊川和彦ドラマだ。 
尾野演じる妻の美奈江川演じる夫の信次も、幸せで明るい家庭を作ろうとしているが、美奈は父親と信次は母親との葛藤を抱えたまま、という設定。
遊川ドラマには必ずと言っていいほど、親子関係の複雑さ、与えられなかった愛が背景に横たわっている。
「純と愛」「○○妻」などなどは、ハッピーエンドではない。
それを嫌がる視聴者も多いと聞く。とくに「純と愛」は朝ドラだったしね。
今回は「特別養子縁組」がメインテーマ。 
虐待を受けて放り出された男の子を施設から引き取って養子にするストーリー。
この男の子もまた愛を受けていない。
はじめ、と名付ける(本当はひかり)。
はじめの母親がどうして虐待したか、父親は誰なのか、の衝撃告白は最終回にあるが、
救われないのはそこだけ、だったかな、今回は。
ネタバレ→はじめ(ひかり)の父親は母親の実父。(このことを将来はじめくんが知ったらどうなるんだろう、と余計な心配をしてしまった)
美奈と信次は、自分の親としっかり向き合い、正直な気持ちを伝え合うことで、癒された。めずらしい、ハッピーエンドだ。また救われないことになりやしないか、といささか構えていたが、ここは大丈夫だった。
やっぱり、はじめくんの親の件があまりにショックだからね。これ以上はさすがに・・・。
どうしても何かぶっこんでくる遊川ドラマ。
親子や家族について、何かしら葛藤をもっている人には、癒しにもなるドラマかもしれない。
そのほか出演者には、遊川ドラマではお馴染みの顔も見える。


最後に
「HOPE~期待ゼロの新入社員」(フジテレビ)
中島裕翔/遠藤憲一/山内圭哉/瀬戸康史/桐山照史

最終回。なんだろう、この開放感は。
大企業にしばられて、苦しめられて、そしてそこから飛び出した、いや、飛び出すことになった営業3課の3人。
この自由の感覚が幸福というのではないだろうか。健全というのか。

なかなか面白いドラマだった。
韓国ドラマのリメイクらしい。
囲碁の天才児だった一ノ瀬歩(中島)
日本棋院で囲碁一筋に生きて来た。
高校生のとき父親が亡くなり、家計を助けるためにアルバイトをしながらの囲碁の勉強となったため、プロ試験に落ちてしまう。プロ試験は22歳まで。
プロに絶対になれると言われていた一ノ瀬は、プロを諦め、母親の知人の紹介で総合商社に研修生として入り、契約社員として入社することになる。
そこで様々繰り広げられるパワハラや理不尽やらなんやら。
そんななかでも一ノ瀬が配属された営業3課は、一番人間味あふれるやわらかい場所に見える。
そして、課長の織田(遠藤)は曲がったことが嫌い。主任の安芸(山内)もいい人(コメディはいってる)。
一ノ瀬の持ち前の発想力と人柄は次第に周囲を変えていく。
織田は高卒の一ノ瀬を正社員にするべくいつもなら引き受けない大きな仕事を引き受けてしまい、その関連で社員の不祥事が表ざたになり、結局は対面上の責任を取らされて織田は会社を去る。
一ノ瀬も、仲間たちの推薦活動もあったが、やはり正社員にはなれず、1年で契約は切れる。
次の仕事を探して勉強中の一ノ瀬のもとに、面接のお知らせの電話が来る。
知らない会社だ。
不信に思いながらも行ってみると、そこは織田が立ち上げたばかりの小さな会社だった。
喜ぶ一ノ瀬。
そこへ、安芸もやってくる。
3人で、新しい会社を始めるというハッピーエンド。
この最後のシーン。VTRを戻して何度も観てしまった。
冒頭に書いたように、なんともすがすがしかったから。
解放されて自由にできる。
もちろん、つぶれるかもしれない。
けれども、大きな会社で犬のように首輪をつけられて働くことが、
いかに窮屈なものであるか、
それを、このドラマは教えてくれているように感じた。
なんというか、その感覚を、全話鑑賞することによって、自然と感じるようにできている。
意図してそうしたのかは分からないし、
制作者の思い描いたテーマは別のところにあるかもしれない。
が、よりみちねこは、不自由からの自由がいかに健全であるか、
を大きなテーマとして捉え、感動した。
メッセージ性のあるドラマとしては「HOPE」が今期第1位かもしれない、
と、最終回まで観て思った。
中島裕翔は将来性のある俳優のように見える。
ジャニーズは嫌いだけど(SMAPファンなんで)。


ドラマを楽しもう


 

こんにちは。
よりみちねこの「ドラマdeファンタジー」へようこそ!

さてさて、よりみちドラマ評を久しく書いていなかった。
というのも、
今期は、途中で刺激されて評する、
といった深いメッセージを感じるドラマがなかったのだ。

今夏は、オリンピックの年だったので、
お休みの週もあったりで、
ドラマ制作者サイドもやりにくかったかもしれないね。

そのせいなのかなんなのか、10回までいかずに終わるドラマもあった。

一方で、深い感想は持たないが、
謎解きミステリー的に毎回面白いもの、
単純に楽しいコメディ、
ふつうに観れる、
というドラマが多かった。

2回にわたって、最終回まで観た作品をよりみち批評しておく。

まずは、9月11日までに終了した作品。


謎解き娯楽として興味深ったのは
「ON 異常犯罪捜査官 藤堂比奈子」
フジテレビ 波瑠/横山裕/林遣都

「そして誰もいなくなった」
日本テレビ 藤原竜也/伊野尾慧/玉山鉄二/黒木瞳


「ON」は、9話で終わってしまったが、
なかなか面白かった。
事件は極めて異常な殺人。
殺し方も異常、犯人も異常なこだわりを持っている。
藤堂比奈子刑事は、サイコパス。自分もいつか人を殺すのではないか、
と思っている。そんな自分を試すために刑事になった、とも。
アメリカに売り込んでもいいのでは、と思った。
「NCIS」や「クリミナル・マインド」にも引け劣らないと思いながら、
よりみちねこは観ていた。
深刻な事件にユーモアも盛り込まれているので、アメリカンだ。
配役がどの人物もぴったりだった。
横山裕以外は。他に誰かいなかったのか?
他がgoodなだけに残念だ。
関ジャニは好きなので、誤解なきよう。単に役柄の問題。
藤堂比奈子を執拗に追いかける美しき殺人鬼
佐藤都夜(さとうつや)役の佐々木希がナイスな演技だった。
「笑っていいとも」のときは今ひとつな感じがしたが、ファンになった。
林遣都も、どちらかというと好きな俳優ではなかったが、このドラマで見直した。
雰囲気をしっかりつかまえている。
続編を期待するが、
視聴率が良くなかったみたいなので、どうだろう?
ドラマは視聴率ではないぞ!
続編、頼む!

「そして誰もいなくなった」も、なんで?どうなるの?
と初回からぐいぐいともっていかれた。
結局、一人の人間の恨みをはらす計画に、
周辺の人々の強欲(金、出世)を利用した犯罪に巻き込まれた主人公、
というわけか。
世界を孤独にするという壮大な計画は、
たった一人の男の小さな恨みに終結してしまったのが、
世の中を体現している、と言えるのかな?
ただ、登場人物が多かっただけに、いささか散漫なのと、
主犯が刺されたにもかかわらず、その姿がなくなっていて、更なる謎は残った。
続編でもあるのか?
そして誰もはいなくならなかった。
もっと震撼とする結末を期待してしまっていたので、
終わり方がちょっと不満。

コメディタッチで単純に面白かったのは
「グラメ」
テレビ朝日 剛力彩芽/三宅弘城/小日向文世

「水族館ガール」
NHK 松岡茉優/桐谷健太

「グラメ」は、
総理官邸の若い女性料理人が、料理にメッセージを込めた会食で
問題ありの人物たちと総理の会談をうまくまとめる、という一話完結物語。
問題あり人物の背景に焦点があたるのは、カフェものと似た観がある。
なんてことはないが、楽しめた。
エンディングテーマでの出演者たちのダンスがいい。
剛力のダンスはうまい!

「水族館ガール」も、
舞台が水族館というだけで、
ちょっとドジな女子社員が動物たちとの触れ合いのなかで仕事に目覚め、
イヤなやつだった先輩指導員に次第に惹かれていく、
というストーリー。
赤字の水族館を立て直していこうと奮闘する指導員たちの姿がほのぼのする。
最後は両想いになるのはご定番だな。

コメディー要素は全くないが、
普通に応援しながら観ることができたのは
「仰げば尊し」
TBS 寺尾 聰/村上虹朗/真剣佑/石井杏奈/多部未華子


学園青春ドラマ。
不良とパッとしない部活(吹奏楽部)、
そして、部活の立て直しと不良たちの更生に携わる先生が病気で死んでしまう、
という汗と涙の物語。
部活を立て直す。
不良たちが仲間になる。
古くは「飛び出せ青春」
新しくは「ウォーターボーイズ」「ルーキーズ」。
先生が病で倒れるという背景は、
「僕の生きる道」「フルスウィング」
などと通底する。
注目若手俳優のラインナップ、
ってのが見どころなのかな?

ドラマを楽しもう

つづく

 

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