よりみちねこのドラマカデミア

よりみち視点でドラマをアカデミアするよ。

2018年01月

よりみちねこのドラマカデミアへようこそ!


「海月姫」フジテレビ月曜夜9時
主演/芳根京子


第2話
水道管が破裂して水漏れ。修理に20万円かかるという。
天水館のオタク住人たちの、オタクグッズを売ってお金を得ることを提案する蔵之介(瀬戸康史)。
だが彼女たちが自分の一番大事なものを売るはずがない。
月海(芳根京子)がつくったクラゲのマスコットが、フリーマーケットでことのほかの人気で売れた。それをネット販売することに。
さらに大家の娘で和物オタクの千絵(富山えり子)が意を決して人形を15万で売る。

一方、開発事業で天水館を売却することを千絵の親が了解済みと知り、蔵之介の命令もあって、住民説明会に行くオタクたちだが、恐れをなして帰ってくる。

蔵之介の弟・修(工藤阿須加)は月海のことが好きなのだが、自分が好きな月海とクラゲオタクの月海が同一人物だと気づいていない。
修が好きな月海は、蔵之介が変身させたおしゃれな月海だ。

今話も、オタク女子たちのこだわりの行動、おどおどしているようで実はめげない根性が愉快であり、そのドタバタ加減も見ていて痛快。思わず応援したくなる。

月海も女装している蔵之介も、いわば本当の自分を隠している存在を象徴していると言えのかな。
蔵之介は、オタク女子たちと絡み、そして助けることに夢中になっている。
そして、蔵之介も月海に惹かれつつあるようだ。

さて、恋の行方も気になるし、どう彼らが変身し、あるいはそのままでいるのか。
とにかく楽しいドラマ。
あっという間の60分で、エンディングクレジットが流れ始めたとき、
え、もう終わり?と思わず思ってしまうほど。もっと見ていたい気分にさせられる。



「anone」日本テレビ水曜夜10時
主演/広瀬すず


第3話
お金(実は偽札)目当てで、青羽るい子(小林聡美)と持本舵(阿部サダヲ)に誘拐されたハリカ(広瀬すず)。ところが帰宅した舵のカレー屋に、会社の上司に発砲して逃走中の西海(川瀬陽太)が潜伏していた。舵の知り合い。
ハリカを亜乃音(田中裕子)の娘と勘違いして身代金を要求。

西海は言う。
うちの会社で一番の幸せは終電で帰れる幸せ。
俺は会社に殺される前に殺しただけなのになんで警察に追われなきゃいけないんだ。

そして、身代金を受け取って偽札だと分かった西海は、自暴自棄に。
刑務所には行きたくない。もう命令されたり偉そうにされるのはいやだ、と叫ぶ西海。
会社よりましかもよ、となだめる舵。
生きてる意味が分からない、と言う西海。四十五になって二十歳(はたち)の倍そう思うと。
死んでもいいと言う西海に、死んでもいいと思うのは、生まれてきてよかったと思うときだ、とナイスなセリフを言う舵。
そして舵は、自分が末期ガンだと告げ、あきらめてもあきらめても生きたいなぁ、と思ってしまう、と話す。
すると西海は、
すぐばれる嘘言うな、
と舵を殴りつける。
結局、西海は警官に見つかり、自分を撃ち殺してしまう。
この舵と西海のセリフの応酬シーンは秀逸。
死にたい人間と生きたい人間の乱暴で悲しいやり取り。
一番の衝撃は、末期ガンの告白をしたのに、それを嘘だと思うところだ。
普通のドラマなら、そこで我に返ったりするものだが、坂元裕二の脚本はいつもながら辛辣だ。
でもこれって、逆に嘘偽りのない感情かもしれない。
死んでもいいと思っている健康な人間に、余命宣告された人間が命の大切さを感じさせようとしたところで、キミはまだまだ生きられるじゃないかと命への感謝の押し売りをされたところで、突然、絶望が希望に変わったりはしない。

ハリカのためにお金を用意した亜乃音。
ハリカはただのアルバイトの自分になんでそこまで、と不思議がる。
亜乃音も、なんでだろうね、としか言わない。
ここからの二人の関係が楽しみだ。

今話のポイントは、西海の言動に込められている社会の闇。
働き方改革といいながら、働かせ方改革になりつつある為政者たちの思惑のなかで動かされている今の日本社会。この鼻先にあるのはたぶん「お金」だ。
お金に十二分な余裕のない人々は、一触即発のなかで日々を過ごしているのかもしれない。

さて、1千万円は青羽が持って逃げている。
次週はどう展開するのか。



よりみちねこのドラマカデミアへようこそ!

2018年の冬期ドラマがはじまりました。
全て観ているわけではありません。
そしてさらに、とりあえず1話は観ましたが、見続けるかどうかは分かりません。

とにもかくにも、ご紹介をかねて簡単な感想を。

「海月姫」フジテレビ月曜夜9時
芳根京子/瀬戸康史/工藤阿須加/木南晴夏/松井玲奈/内田理央


クラゲオタクの倉下月海(芳根)と国会議員の息子(母親違い)二人、鯉淵蔵之介(瀬戸)と修(工藤)との出会いが、月海の見た目を変えていくのか?というところが見どころ、なのか?
物語の出だしは良くなかった。つまらなそうなので、1話で見納めかな、とすら思った。
しかし、だんだんと惹きこまれた。
男子禁制アパート天水館に住む女性たちが、全員オタク。こんな暮らしができるとは、あんたたちはいったいどこからお金を得ているのかと不思議がる女装美男子の蔵ノ介。もっともだ。
彼女らの返答がいい。
ここに住む漫画家のアシスタントとそして何より親からの仕送り、だそうだ。
自分たちの愛することを大事にして、絶対に曲げず、動じない彼女たちは、好感が持てる。
木南、松井、内田が全員前髪が眼を隠していて顔が分からない。
木南がかろうじて判別できたが、あとの二人はどんな役者か名前を見るまで全く分からなかった。いや、名前を見てすら「誰?」だ。
最終話までに顔を出すのだろうか。
再開発で天水館はどうなるのか。そして恋の行方は。
意外と面白いので続けて観ようと思う。


「FINAL CUT」カンテレ(フジテレビ)火曜夜9時
亀梨和也/栗山千明/橋本環奈/藤木直人/杉本哲太/水野美紀/林 遣都

いわゆる復讐ものだ。
最近の復讐もので印象に残っているのは、「嘘の戦争(カンテレ/草彅剛主演)」「アリスの棘(TBS/上野樹里主演)」があるが、そのパターンだ。
舞台はメディア。
あくどい報道手法で、殺人犯にされ、自殺してしまった母の復讐に乗り出す中村慶介(亀梨)と友人。
カンテレ系の復讐劇は、復讐をはかる主人公も詐欺師になってしまうのだな。
そうでもしなければこれほどの復讐劇は貫徹できないか。
昨今言われている報道番組のつくり方、視聴者を低く見ている作り手たちの様子、そして天才司会者の横暴と傲慢。それらも同時に描かれているところは社会性もあると言えそうだ。
先が気になるので、続けて視聴しようと思う。


「きみが心に棲みついた」TBS火曜夜10時
吉岡里帆/桐谷健太/向井理/ムロツヨシ/瀬戸朝香/鈴木紗理奈


これは…なんだろう…。どんなドラマなんだろう。
こんな気持ちの悪いドラマはじめてだ、という感想もすでにあるそうだが、同感する。
ストーリーがどのように展開するのか分からないので軽々には言えないが、
それにしても、登場人物全員に違和感がある。
キャラクターもさることながら、俳優も上手に使えていないように感じる。
これだけ個性的ないい役者を使っているのに、もったいない。
俳優たちも得をしないような……。
いや、こんな役をこなしてこそ、でしょうか?
いやいや、悪役だって、演じ甲斐のあるものはある。
続けて視聴できるか、不安。


「anone」日本テレビ水曜夜10時
広瀬すず/田中裕子/小林聡美/阿部サダヲ/清水尋也
脚本/坂元裕二


ネットカフェで生活しているハリカ(広瀬)が、ひょんなことから騒動に巻き込まれ、林田亜乃音(田中)と出会う。亜乃音(あのね)は、ハリカがいつもチャットゲームのなかで神野彦星(清水)と会話するときに使う言葉「あのね」と同じ。
一方、余命宣告をされて生きる希望を失っている持本舵(阿部)と彼の経営するカレーやに突然現れた青羽るい子(小林)は、人生談義に花を咲かせる。この二人もまた、亜乃音とハリカの騒動の輪のなかに入り込んでくる。
実は、みんなお金が必要な状況。
そして、亜乃音の亡くなった夫はなぜか偽札をつくっていた。
ハリカは過酷な施設育ち。亜乃音との間で何かを得ていくのだろうか。
舵とるい子の行く末は?
坂元裕二の脚本は、ちょうど1年前「カルテット」で見せてくれたように、深く重たい人間ドラマを、見事な対話劇のなかで上手に描き切ってくれるだろうか。
例によって印象深い、人間や社会の真実をえぐるようなナイスなセリフの数々も、楽しかったり、頷いたり、ぞっとしたりで、楽しませてくれる。
「カルテット」は最終回がうらめしいほど、ずっと見続けていたいドラマだったが、「anone」はどうまとめてくれるのか、期待しすぎてもいけないが期待する。
小林聡美が、久々に小林らしい役どころで観られるのも嬉しい。
「すいか」を思い出す。
劇伴もいい。


「隣の家族は青く見える」フジテレビ木曜夜10時
妊活夫婦→五十嵐奈々(深田恭子)大器(松山ケンイチ)
子供をつくらないカップル→杉山ちひろ(高橋メアリージュン)川村亮塚さ(平山浩行)
男同士カップル→広瀬渉(眞島秀和)青木朔(北村匠海)
幸せを装う夫婦→小宮山深雪(真飛聖)真一郎(野間口徹)

面白そうだ。
この4世帯だけが住むコーポラティブハウス。
【「コーポラティブハウス」(大辞林)
同一敷地に共同で住むことを希望するものが組合をつくり、住宅の設計から管理までを運営する集合住宅。各世帯の条件に合わせて個別に住戸を設計することができる。協同組合住宅。】

一級建築士の広瀬がデザインした。
視聴者のすぐ隣にある人生の問題をそれぞれの共同生活者たちが抱え持っている。
ドラマの始まりは、これから乗り越えるべき問題を提示しながらも、軽快だ。
トラブルの芽もありそうだが陰湿な雰囲気がない、ように(第1話を見た限りでは)見える。
ねちねちとした意地悪や警戒や出し抜くようなドラマではなく、それぞれ意見交換をしながら、ときに対立もするだろうが、互いを理解し合い認め合って、そして助け合っていくような、そんな雰囲気をドラマから発信してもらえたらいいのにな、と思わせてくれるドラマであってほしいが。
さて、どう展開するだろうか。ドラマというファンタジーは世論や価値観を変える役割を持っている。
「ひよっこ」で米屋の娘役を好演した・伊藤沙莉が大器の妹役、
子役だった須賀健太がすっかり大人になって大器が務める会社(おもちゃメーカー)の後輩役で出演。
どちらも楽しみだ。


「アンナチュラル」TBS金曜夜10時
石原さとみ/市川実日子/窪田正孝/松重豊/薬師丸ひこ子/井浦新
脚本/野木亜希子


一言、面白い!
不自然な死、死体を解剖もせずにいれば、そのまま葬り去られてしまう事件、出来事を法医解剖医たちが解明していく、はらはらサスペンスドラマ。
まあ、刑事ドラマでいいじゃない?と思わないでもないが。
なぜなら、調査がはじまると、まるで刑事の行動になってしまうので。
原因究明のどんでん返しがひとつふたつと続き、飽きさせない。
一方で、遺族たちへの配慮が半端ない主人公・三澄ミコト(石原)。
石原の演技がまた見ごたえある。とくに食べながら喋るシーンは上品でそれでいて豪快。
天才だな、と思わざるを得ない。
もちろん、続けて観ます。


「もみ消して冬」日本テレビ土曜夜10時
山田涼介/波瑠/小沢征悦/中村梅雀/千葉雄大/浅野和之

エリート家族が、家族に起きる問題を、あの手この手でなかったことにしていくドタバタコメディ。
まだ1話しか見ていないが、このドラマにどんな背景や意味があるのか分からない。
なにしろ東大出の医者、弁護士、警察官が、法を犯して家族のスキャンダルを守るのだから。
家族ファーストのドタバタ喜劇としかいいようがない。
どこまで見続けられるかな。
波瑠ファンとしては最後まで見届けたいのだが。


その他

「BG(テレビ朝日木曜夜9時)」は、脇役が名優揃い。

「99.9(TBS日曜夜9時)」は、シーズン2で安定。
女性弁護士のポストが榮倉 奈々から木村文乃に交代。

「相棒(テレビ朝日水曜夜9時)」も安定。
ただし「相棒」はこの2~3年、以前のような巧みでヒューマニティあふれる物語が見られなくなったように感じている。
杉下右京(水谷豊)の相棒・冠城亘 (反町隆史)は来シーズンも続くのか?



よりみちねこのドラマカデミアへようこそ!


2017年1月8日放送
新春ドラマスペシャル テレビ東京
「娘の結婚」
中井貴一/波瑠/満島真之介/キムラ緑子/光石研/原田美枝子/奥貫薫/段田安則


久しぶりの「いいドラマ」だった。
泣けた。
悲しいから、嬉しいから、とかではない。
なんということはない日常のドラマ。
その温かさに自然と涙が出た。

ドラマの現実時間はほんの数か月。
はっきり描かれているのは年末からお正月。
そのなかに、登場人物たちの16年分、いや、それ以上がとても丁寧に詰め込まれている。

原作がある。
小路幸也「娘の結婚」(祥伝社文庫)
この小説のなかでも同様の表現なのだろうか。
脚本は水橋文美江。「神はサイコロを振らない(日本テレビ)」の脚本家だ。
なんとなく「すいか(日本テレビ)/木皿泉」を思い出した。
「神はサイコロを振らない」の出演者、小林聡美、ともさかりえは「すいか」のメンバー。
それもさることながら、
「娘の結婚」の冒頭、古民家のような家のたたずまいや台所の様子などが映し出される様は、まさに「すいか」あるいは、木皿泉だった。
今正月は、2016年2017年と楽しませてくれた木皿泉脚本「富士ファミリー」の放送がなく残念に思っていたが、BSプレミアムで12月に放送された「道草」よりも、「娘の結婚」のほうが木皿泉系だった。

妻の佳実(奥貫)が不慮の事故で死んでから娘の実希(波瑠)と二人きりで生きてきた父の孝彦(中井)。
父と娘のモノローグが交互に入り、同じ事々でも二人で違う印象を持っていたりして面白い。
実希のいつもと違う様子に、結婚するのかなと感づき、いささか憂鬱になる孝彦。
ここまで見ると、ああ、父親が大切に育ててきた娘を手放さなければならない父親の寂しさとか、そういったあるあるのドラマかな、と思いきや、違った。

実希の相手は妻がまだ生きているときに住んでいたマンションの隣りの住人の息子、真(満島)だった。
ちょうど年末の大掃除をしているとき、不思議な便りを見つけた孝彦。そこには、孝彦親子がマンションを出た後に自殺があり、その原因が真の母、景子(キムラ)にあったというち週刊誌の記事のコピーが入った中傷だった。
そんな人には見えなかった。佳実とも仲が良かったし。もしかしたら佳実もいじめられていたのか?
そんなところへ嫁にやれるか?あれこれ思いをめぐらす孝彦。
大学時代の元カノの助言もあり、孝彦は自分で確かめに行く。

景子の誤解されやすい、女性に嫌われる性質であることが、いささか哀れだ。

佳実は景子の唯一の友だったようだ。

佳実が死んだとき、9歳だった実希。景子が霊安室に駆け込んで来て大泣きしていたのを覚えていた。
「おとなも泣くんだ、と思った」と言う実希。
母親が悪口を言われているのを知っていた真は、母親から離れて暮らす提案を実希にするが、
孝彦と実希の話を聞いて、真も救われる。

人の心の奥、あるいは背景にあるものは、表面的には分からないものだ。
そのことで苦しんだり、誤解したり、悲しんだりすることがある。
真が結婚の許しを得る場面で、孝彦は、
他人の言うことを気にせず自分たちの生活を大切にして生きていくよう促す。
他人がどう思うかではなく、自分がどう思うか。それが人を強くするのだろう。
よりみちねこは、そんな示唆を受け止めた。

孝彦と実希はそういう意味でも、自身の「生」を受け止めて、地にしっかりと足をつけて生きている、生活している、そんな父娘の姿だった。

実希役の波瑠と真役の満島真之介は、「おそろし(NHK)(原作/宮部みゆき)」でも共演している。
そのときは本当に恐ろしい間柄の役どころだった。
今回は明るい恋人同士。

中井貴一も誠実な父親役が板についている。

キムラ緑子は、真の母親役で謎の鍵を握る女性ではあるが、出番はそれほど多くない。
しかし、息子を思いやる様子など、コメディ要素も取り込んで、非常にいい味を出していたと思う。
さすがだ。

それから……
奥貫薫は意外と死んだ母親役が多くないか?「ATARU(TBS)(主演/中居正広)」もそうだった。

最近は、騙し騙され的な駆け引きを楽しむドラマが多いなか、
裏切られない平穏なドラマを見せてもらった。

お金儲け中心の社会になったとき、人は「出し抜く」ことばかりを考えて生きるようになるのだそうだ。
それとは真逆の感覚を得ることのできるドラマだ。



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