こんにちは。
よりみちドラマ感想評へようこそ。



「おかしの家」
TBS 水曜日よる11時53分
 
このドラマについては、2015秋ドラマスタートの記事では紹介していない。 
ドラマ評論家たちが良い良いと言うので、3話から観てみた。
 
良い!
ゴールデンでも、こうした良質の静かな奥深いドラマを放送できるといいのに。
つまり、視聴率?スポンサー?関係でできないのかにゃ?
制作者たちには、もっと自信を持ってほしいと思う。 

主人公・桜井太郎(オダギリジョー)(33歳)は、
祖母(八千草薫)と駄菓子屋「さくらや」を営んでいる。
そこに仲間たちが集まってきて、ああだこうだ語り合う物語。

第4話では、
店はいずれ確実につぶれる、売り上げは月に4万円程度、でも、この駄菓子屋が、だた無意味で無駄なものだとはどうしても思えない、と太郎がつぶやくところから始まる。
 
国土交通省の将来推計人口の動向によると、
日本の人口がどんどん減っていく。2100年には今の3分の1になる、と。
そりゃあ、客も減るわな、昔はこの店も子どもが溢れていた、と。
でも、そのころには太郎も死んでいる。 

これからの自分たちがどうなるか研究する、と、
大量の本を持ち込む太郎と弘樹(勝地涼)。
 
ウクライナもシリアも紛争中でたいへんだ。
人身売買も移民問題もたいへんだ。
自殺、原発、死刑制度、いじめ、孤独死。 
オレたちに何ができる。
 
災害、安保、領土問題。 
オレたちに何ができる。
 
基地問題、ギリシャ、麻薬、大気汚染、食品偽装。
オレたちに何ができる。
 
もうやんなっちゃったなぁ。
オレたちが子供のころ、こんな時代になるなんて、誰も教えてくれなかったよなぁ。
ああ、騙された気分だ。
 
そこで、もうひとりの友人・剛(前野朋哉)が、昨日のワイドショーのニュースランキングの話をする。
世界の問題に目をそらして、にやにやしながらバカみたいに生きていけ、
と剛に向かって叫ぶ太郎。
シビアな現実が目の前にあるでしょうが、シビアな現実から目をそらしているくせに何言ってんだ、
と歯向かう剛。

マクロの目とミクロの目。
世界情勢と自分たちが今まさに生きている社会。

どこを見て生きていったらいいんだろうね。
よりみちねこもときどき思う。

目の前の生活や仕事。そのなかでの理不尽。
世界の紛争や大きな社会問題は、確実につぶれるであろう自分の店と関係あるんだろうか。
シリアやウクライナの心配をしても、自分の店が持ち直すわけではない。
ってことだよね。 
じゃぁ、マクロの視点は逃避か?
・・・・。

この先どうなるのか。
青年たちもすぐ目の前のことに心を痛めている。
そして一方で、社会や世界へ目を向けると、
そこにもまた、心の痛いことで溢れている。

シビアな現実とは、目の前のことだけなんだろうか。
社会、国、世界で起きていることもまた、現実だよね。そしてやっぱりシビアだ。
より良くなっていくと思っていた(教えらえていた)世界が、今崩れかけているし。
え?ってなことがどんどんはっきり見えてくる昨今。

自分に痛みがあるから人の痛みも分かるって、子どものころ教わったんすけど、全然だめですね。
この距離でむりなんだから、ウクライナ人のことなんか分かるわけないもんな。
金八先生?人は悲しみが多いほど、人には優しくできるのだから~♪
でもさ、その通りだとは思うんだけどね。 
でも、確かにね、とも思う。
痛みも、それぞれ違うし。

でもね、きっと、分かろうとすることが大事なんじゃないかな。

日々の暮らしと世界情勢、社会問題。
その対比が興味深い。
「理想と現実」とよく言うけど、その感覚に近いのかな。
両輪なのかもね。 

過労で倒れた礼子(尾野真千子)を病院へ迎えにいった車のなかで、太郎が言う。
太郎は、礼子のことが好きらしい。礼子は離婚して、息子がいる。
「ウクライナ、シリア、人身売買、移民問題、自殺、原発、死刑制度、いじめ、孤独死、
災害、安保、領土問題、基地問題、ギリシャ、麻薬、大気汚染、食品偽装、で、
おまえ、オレ、おばあちゃん、さくらや。
正直、どうしていいか分かんない。
とりあえず、おまえんちに向かいま~す」。
いろいろあるけど、
とりあえず「今自分のできること(すべきこと)をする」ってことかな?
その「できること」すらしないまま時が過ぎているときもあるからね。
 

八千草薫が演ずるおばあちゃんが、最高に素敵だ、にゃん

お薦めの作品。


ドラマを楽しんでね 


追伸
「5→9 私に恋したお坊さん」を観るのが苦痛になってきた。
ついに、観るのをあきらめた。録画しているので、12月に最終回だけ確認しようっと。