よりみちねこのドラマの世界へようこそ!

さて、2016年夏期ドラマ終了評価第2弾。

「家売るオンナ」
「はじめまして、愛しています」
「HOPE~期待ゼロの新入社員~」

今期はドラマ途中で深く感動したり、大きなメッセージ性を感じてこちらへ記事をアップする、
ということはなかった。
先にも書いたが、
ストーリー展開をエンターテインメントとして楽しめるドラマが多かったように思う。
そのトップが
「家売るオンナ」(日本テレビ)
北川景子/イモトアヤコ/仲村トオル/千葉雄大


一話完結の不動産会社とそのお客を描いたコメディドラマ。
家を買う(売る)お客さんたちの人生や抱えている問題も描かれており、
そこに踏み込んでいくことで、新しい家とともに家族や恋人、人生問題まで解決してしまう。
いや、そこにつけ込んで、とも言えるのかもしれないが、
いずれせよ、「私に売れない家はない」と無表情で言い放つ三軒家万智(北川景子)が、その家を買った人たちを幸せにしていくストーリー。
三軒家のその哲学は、自らの家族と家にまつわる悲しい体験からきているのだった。
キャストも全員ぴったりだったように思う。
イモトアヤコもいい役ももらったのではないか?
北川景子のコメディタッチの演技が見ごたえあった。新境地を開いたように思う。
素直に楽しめるので、機会があればぜひご鑑賞を!


「はじめまして、愛しています」
「HOPE」はエンターテインメントとは違う。

「はじめまして、愛しています」(テレビ朝日)
尾野真千子/江口洋介


親子の葛藤と現代社会の問題を描く遊川和彦ドラマだ。 
尾野演じる妻の美奈江川演じる夫の信次も、幸せで明るい家庭を作ろうとしているが、美奈は父親と信次は母親との葛藤を抱えたまま、という設定。
遊川ドラマには必ずと言っていいほど、親子関係の複雑さ、与えられなかった愛が背景に横たわっている。
「純と愛」「○○妻」などなどは、ハッピーエンドではない。
それを嫌がる視聴者も多いと聞く。とくに「純と愛」は朝ドラだったしね。
今回は「特別養子縁組」がメインテーマ。 
虐待を受けて放り出された男の子を施設から引き取って養子にするストーリー。
この男の子もまた愛を受けていない。
はじめ、と名付ける(本当はひかり)。
はじめの母親がどうして虐待したか、父親は誰なのか、の衝撃告白は最終回にあるが、
救われないのはそこだけ、だったかな、今回は。
ネタバレ→はじめ(ひかり)の父親は母親の実父。(このことを将来はじめくんが知ったらどうなるんだろう、と余計な心配をしてしまった)
美奈と信次は、自分の親としっかり向き合い、正直な気持ちを伝え合うことで、癒された。めずらしい、ハッピーエンドだ。また救われないことになりやしないか、といささか構えていたが、ここは大丈夫だった。
やっぱり、はじめくんの親の件があまりにショックだからね。これ以上はさすがに・・・。
どうしても何かぶっこんでくる遊川ドラマ。
親子や家族について、何かしら葛藤をもっている人には、癒しにもなるドラマかもしれない。
そのほか出演者には、遊川ドラマではお馴染みの顔も見える。


最後に
「HOPE~期待ゼロの新入社員」(フジテレビ)
中島裕翔/遠藤憲一/山内圭哉/瀬戸康史/桐山照史

最終回。なんだろう、この開放感は。
大企業にしばられて、苦しめられて、そしてそこから飛び出した、いや、飛び出すことになった営業3課の3人。
この自由の感覚が幸福というのではないだろうか。健全というのか。

なかなか面白いドラマだった。
韓国ドラマのリメイクらしい。
囲碁の天才児だった一ノ瀬歩(中島)
日本棋院で囲碁一筋に生きて来た。
高校生のとき父親が亡くなり、家計を助けるためにアルバイトをしながらの囲碁の勉強となったため、プロ試験に落ちてしまう。プロ試験は22歳まで。
プロに絶対になれると言われていた一ノ瀬は、プロを諦め、母親の知人の紹介で総合商社に研修生として入り、契約社員として入社することになる。
そこで様々繰り広げられるパワハラや理不尽やらなんやら。
そんななかでも一ノ瀬が配属された営業3課は、一番人間味あふれるやわらかい場所に見える。
そして、課長の織田(遠藤)は曲がったことが嫌い。主任の安芸(山内)もいい人(コメディはいってる)。
一ノ瀬の持ち前の発想力と人柄は次第に周囲を変えていく。
織田は高卒の一ノ瀬を正社員にするべくいつもなら引き受けない大きな仕事を引き受けてしまい、その関連で社員の不祥事が表ざたになり、結局は対面上の責任を取らされて織田は会社を去る。
一ノ瀬も、仲間たちの推薦活動もあったが、やはり正社員にはなれず、1年で契約は切れる。
次の仕事を探して勉強中の一ノ瀬のもとに、面接のお知らせの電話が来る。
知らない会社だ。
不信に思いながらも行ってみると、そこは織田が立ち上げたばかりの小さな会社だった。
喜ぶ一ノ瀬。
そこへ、安芸もやってくる。
3人で、新しい会社を始めるというハッピーエンド。
この最後のシーン。VTRを戻して何度も観てしまった。
冒頭に書いたように、なんともすがすがしかったから。
解放されて自由にできる。
もちろん、つぶれるかもしれない。
けれども、大きな会社で犬のように首輪をつけられて働くことが、
いかに窮屈なものであるか、
それを、このドラマは教えてくれているように感じた。
なんというか、その感覚を、全話鑑賞することによって、自然と感じるようにできている。
意図してそうしたのかは分からないし、
制作者の思い描いたテーマは別のところにあるかもしれない。
が、よりみちねこは、不自由からの自由がいかに健全であるか、
を大きなテーマとして捉え、感動した。
メッセージ性のあるドラマとしては「HOPE」が今期第1位かもしれない、
と、最終回まで観て思った。
中島裕翔は将来性のある俳優のように見える。
ジャニーズは嫌いだけど(SMAPファンなんで)。


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