こんにちは。よりみちねこです。

「民衆の敵」フジテレビ月曜夜9時
篠原涼子/田中圭/高橋一生/千葉雄大/前田敦子/石田ゆり子/古田新太


すでに4話まで進んでしまった。
実は毎週よりみち評を書こうと思っていたドラマ。
よりみちねこの感覚を刺激してくれると予想していたからだ。
ところが、
いや、忙しかったという言い訳もあるのだが(本当にただの言い訳だ)、
なんとなく「ながら見」だったこともあり、
書けないままここまで過ごしてしまった。

衆議院議員選挙があったため、当初の予定よりも1週間遅れてスタートした。
選挙に影響があるのではないかという忖度かお達しか何かあったのでは?という噂も飛び交った。

これは、国会議員ではなく、市議会議員の物語。

第1話では、時給950円のパート主婦が、月給950万円に惹かれて市議会議員に立候補する。
佐藤智子・公平(篠原/田中)夫婦は、正義感が強いのか、理不尽さにがまんならないタイプのようで、仕事が長続きしないようだ。
社会ってそんなもんだよ、とみんな我慢しているのかもしれないが、それが世の中に不幸を蔓延させている要因だろうとよりみちねこも思う。心疾患もそうだ。
智子に賛同してくれた近所の人々の様々なパワーを借りて、当選。

第2話では、晴れて初登庁。
智子は市議会で、居眠りをしている議員に「起きろ」と頭をたたく。
これが動画にあがり、市民たちは拍手を送るが、議員多数派のドン犬崎(古田)からは議会で謝るように言われ、そのうえ自分の派閥に入るよう促される。
智子は謝らず、むしろ、議会で居眠りすることの是非を問う。
派閥は、犬崎派に入る。

第3話では、冤罪事件解決に関わったことから介護や貧困家庭の問題と直面する智子。
第4話では、シャッター商店街問題と子ども食堂。
いずれもすったもんだの末、解決へ向かう。
智子は、目の前の一人の幸福が大きな幸福につながる、そんなモットーで動く。

智子が政治に無知であることから、議会での議員たちの動きと仕事の手順というものの説明にもなっている。
実際はここまで熱心に動いている市議会議員がいるとは思えないが。
最近は県議会議員も含めて地方議員は機能していないということなので。

智子の人柄、環境については賛否両論あるようだ。
高校中退、父親はギャンブル狂い、母親は男にだらしないホステス、自分の息子は卵焼きをステーキだと思って食べている、という智子。
こういう庶民女性だからこそ、市議会に殴り込みができる、と頼もしく思う人もいれば、
わざわざガサツな女をもってこなくてもいいのに、「セシル」で失敗しているではないか、と感想を述べている評論家もいる。
よりみちねこは、両論あるな、と思う。

智子はただガサツなだけではなく、庶民感覚以外にも、生来の正義感を持っている女性。
ゆえにガサツというよりも、無邪気、と言ったほうがいいかもしれない。
その世界を知らない人物が、持ち前の恐れを知らない奔放さで、その世界に新風を巻き起こしたり、改革したりするストーリーは決して珍しくはない。

よりみち的期待で言わせていただけるなら、
議員報酬や議員定数について語ってくれてもいいかな、と思う。
つまり、議員報酬などに「お金がかかり過ぎではないか」問題。
時給950円から月給950万円になったといって、高級肉をばかすか食べるシーンは必要だろうか。
卵焼きをステーキだと思って食べていた息子、という前振りがあるので、ここは欠かせないシーンだろう。それは理解するとしても、無駄遣いや政務活動費の不正支出などが次々発覚している地方議員がたくさんいるなか(おそらく常態化している)、あまり笑えない。やっぱりそこかい!と。
せめて、これは市民の皆さんの税金なんだよね、くらいの発言があってもいいように思う。

もうひとつお願いがある。
「先生」と呼び合うのをやめてほしい。
「カルテット」(2017年冬/TBS/脚本・坂元裕二)というドラマがあった。このなかで、坂元は、男性配偶者のことを「夫」「夫さん」と表現していた。
このところ「主人」と呼ぶのをやめたほうがいいのではないか、という声があがってきている、
そんななか、こうしてドラマなどで使われると、次第にその言葉が世間に浸透していく、ということもある。
「民衆の敵」のなかで、「先生」はやっぱり違和感あるから「○○さん」にしましょうと智子が提案するとか、「○○議員」と呼ぶとか、反対されても智子だけは「先生」という敬称は使わないとか、
そんなシーンがあってほしいと思っている。

智子くらいに真剣に真摯に働いてくれていれば、950万円も妥当かな、と思わないでもないが、
先進国では、市区町村議員、都道府県議会議員はほぼボランティア、つまり本職を持っていて、生徒会のように集まってくるときなどに手当をもらう、というのが主流のようなので、
生活費のために市議会議員を目指すのでは、今の議員たちの心根と同じだ。
智子の場合は、それがきっかけであっただけで、もともと政治家の才能がある、という設定だということはよりみちねこも認識しているので、あえて、政治批評として述べておきます。

「先生」については、政治家は「先生」と呼ばれても当たり前なくらい大変な仕事だ、と茂木健一郎が先日発信していたが、賛同できない。
これは、はやくやめたほうがいい。
「先生」と呼ばれて簡単に偉くなって、勘違いしていく志のひく~い政治屋がたんまりいるようなので。
ちなみに、立憲民主党の枝野幸夫は「枝野先生」と呼ばれると、「先生と呼ばないでくださいね」と言って、その理由も述べてくれるそうだ。

最後に、
これは「民衆の敵」ではなく「民衆の味方」ではないのか、と評している人もいたが、
確かに、智子は「民衆の味方」だ。
しかし「世の中、おかしくないですか!?」という副題もあるので、このタイトルだけ見て、どんな事を物語ろうとしているのかは一目瞭然だと感じる。

余談になるが、
豊田真由子元衆議院議員の「ちがうだろう~」。
これも、矛先を権力へ向けてくれたら応援できるのに、と思う。
「豊田真由子の“ちがうだろう~!”」なんてラジオ番組、どうでしょう。
選挙活動の様子をテレビで見たが、自分を利することしかお考えでないご様子だったので、
そちら向きはさらさらないようですね。

さて、ニューポート計画の今後も気になるが、
謎のエリート議員・藤堂(高橋)のことも大いに気になる。
シーズン後半、どう展開しますか。
期待します。