よりみちねこのドラマカデミアへようこそ!

さて、視聴率というものを見てみますと、
よりみちねこが好んで視聴し、高評価をつけているドラマが、
のきなみ低視聴率。
すでに視聴をやめてしまった作品がほぼみな10%を越えています。

質と視聴率は比例していない、と言われていますし、
よりみちねこもそう思いますが、
ことごとく惨敗となりますと、いささかへこみます。

それでも、よりみちねこと同じような好みで、
そのドラマのファンだ、興味深く観ている、という視聴者が全国にいると思います。

その皆さまへ向けまして、
2月11日(日)「日テレアップDate!」で放送した「放送番組審議会」の模様、
「合評 水曜ドラマ/anone」からお伝えします。

番組評議会委員
牧村さとる、三宅弘、増田明美、井上秀一、半田正夫、らは
ぼろくそ批評でした。
みんなただただおもしろいものをもとめているのだぁ、と分かりました。
ところが、
その場にいなかった二人の委員
高橋源一郎と岡田惠和のコメントは全く違って、賞賛でした。
高橋源一郎
3回目までを観て感じるのは、やはり坂元さんらしさですね。
どこかでみた物語、既視感のあるストーリーではなく、ちょっとみたことのない違和感さえある断片、というのが坂元さんのオリジナル脚本の特徴だとしたら、この「anone」も典型だと思います。
エンターテイメントとして観る作品というより、考えさせる作品ではないでしょうか。
このような冒険心にあふれた作品をつくろうという考え方はすばらしいと思います。

岡田惠和
脚本の坂元氏に関しては、同士だと思っておりますし、リスペクトしかありません。ファンです。
時々メールで励ましあっています。
作風も捉え方も描き方も全然違うのですが、二人に共通しているのは、いつでも書いているのが地味な人間ドラマだなということ。
今回のドラマも1話2話と観させていただきましたが、見事だなと思いました。さらに名作が生まれたんだなと思います。
ですので、何も言うことなどありません。ただただじっくりと最後まで堪能させていただきます。


番組制作サイドからは、反省の弁もありましたが、
そこまで迎合して、今後は分かりやすく云々的な申し訳は必要なのだろうか、とふと思いました。

上記、高橋と岡田のコメントは、さすがだなと拍手。
よりみちねこが上手く表現できなかった賛辞を的確に表現してくれていて、「それそれ」と思わず頷かせてくれるコメントでした。
とくに、
ちょっとみたことのない違和感さえある断片
これが言いたかったのです、よりみちねこも。
この文言が読まれたとき、それだ!と思いました。
そして、

地味な人間ドラマ
これにつきるかもしれません。
人間たちのドラマは地味な断片のつながりですよね。つながらないこともりますが。
それらが折り重なっていく。幾重にも。
アラビアンナイトの箱物語みたいに。

こういった作品を「重たい」「分かりにくい」と感じる人が大半なのだな、ということが、高橋、岡田以外の委員たちのコメントであらためてよく分かりました。

しかしはたして本当に「重たい」「分かりにくい」のだろうか。
「面倒」なのではないだろうか。何が?「考える」ことが。そして「分かりたくない」のかも。
一生懸命説明したり語ろうとする人に向かって、そんなことどうでもいいじゃん、とか言う人よくいますよね。そこまでくると、「重たい」「分かりにくい」「分かりたくない」を通り越して「理解できない」ではないか、とさえ感じます。

ドラマの内容は、そのまま世間や自分自身、人生についての思考にからんでくる。逆にそうでなければ、ドラマではないと思います。古代ギリシャの時代から。
それらを放棄してしまったとき、放棄させられてしまったとき、
人間は隷従を好んでいくのだろうと「自発的隷従論」(ボエシ著)などを読んでいると、そう感じます。