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「義母と娘のブルース」TBS


はい。酷評してきました。
このデフォルメ下品な感じについていけず、とうとう半分ほどから先を毎週観ることができなくなりました。
録画はしており、最終話のあと一気に観ようと思って、実際そうしました。

さて、原作はさておき、
最終話は良かった。
そして、これは、麦田青年(佐藤健)の立ち直りと彼のパン屋再生の物語のほうが主流なのか?と思ってしまった。
そこまでもっていくための前半。この前半は必要だったのか?
麦田との奇跡の出会いのための前半、ではあるわけだが。前半の謎のシーンが、綾瀬はるか演じる義母・亜希子の契約結婚物語とちぐはぐすぎて、頭の悪い私にはドラマの雰囲気を心のなかで反芻できない。
今となっては、最終話へもっていくための伏線の連続である前半だったと分かる。その伏線の連続が「奇跡」を表現しているらしいのだが、奇跡とか縁とかシンクロニシティというのは、そういうものではあるが、何と言いますかすこ~し違うような気がしないでもありません。

亜希子という存在が、二人の男性、夫と麦田を救ったという視点で考えると、亜希子は彼らにとってスーパーマンだ。ついでに娘にとっても。亜希子は会社でもスーパーマンだったわけで。
ときにコメディポカをやりながらも、必ず解決策を見出していく。こういう人がそばにいてくれればな、と切望する人は世の中にたくさんいることだろう。

最終話で吐露される亜希子の生い立ち。親を早くに亡くした自分。その幼い自分を育てるために娘・みゆき(上白石萌歌)を利用しただけだ、と言う。
インナーチャイルドということか。
自分がしてほしかったことを娘にしてあげようと思った、と言う義母。それを世間では愛と言うんだ、と言うみゆき。
ここは、非常に良かった。率直にいささかビジネス的に子育てに臨んだ亜希子。親の愛を十分に受けないまま大人になると、人はそれが満たされるまで奪う側の人間になってしまうのが常々ではある。そんなことでは決して満たされないのだが。
そうではなく、自分がしてもらえなかったことをしてあげようとする、その方向でインナーチャイルドを癒していくのは、最善の方法ではないかと思う。なんだかんだと処方の数々はあるだろうが、もしかしたらそれしかないのかもしれない。
共依存ではなく、愛を与え合う、互いが互いを尊重し合う自立した関係を築いた義母と娘。

親子関係の妙は、亜希子とみゆきだけではない。麦田とその父親の間でも、描かれている。
麦田は、コミカルな役どころではあるが、父親に逆らいながらいわゆる自分探しをしている青年の設定だ。どんな仕事についても上手くできず、すぐにやめてしまう。そして最後、父親のパン屋を継ぐことになる。そこに自分の宝があったことに気づく。一種の「青い鳥」現象である。その気づきと発展を与えてくれたのが亜希子だ。
そういう意味では、亜希子はみゆきに働く自分の背中を見せるためにベーカリー麦田の再建に着手したので、これも利用した、と言えなくもない。
ビジネスライクと愛情は一致しないのが常だが、このドラマのような「奇跡」もあるようだ。

最後に奇跡が起こる奇跡が起こる、と番宣で綾瀬が言っていたが、何が奇跡といって、亜希子のスーパーマン的仕事が愛である、というところかな、と私は思った。

前半の部分は必要ないのではと冒頭に書いたが、それでも伏線として、もちろん、義母と娘の出会いの部分として必要ないことはない。けれどもその部分が私には苦痛だった。
連続ドラマではなく、スペシャルドラマの時間内で一気に描いたほうがよかったのではないかと、このドラマを酷評してきた私は思います。

役者としては、綾瀬はるかがこんな役をやっていいのか、と乱暴かもしれませんが思います。

それから、最近、他のドラマと俳優が重なることが多いと、こちらでもたびたび書いてきました。
私は、この状況、あまり好きではないのです。役者はいっぱいいるのだから、他の役者さんにもチャンスを与えてあげてください、ということと、あれ?こっちの刑事?犯人?とか戸惑ってしまうことが多いので。ワンシーズン、1ドラマにしてほしいと素人考えで思ってしまう。
このドラマではないが、ゲスト出演で今夏あちこちに出ていた近藤公園。この人けっこうサスペンスにも欠かせない存在になっているみたいで。映画「ウォーターボーイズ」にも出演していた俳優さんですが、今夏だけではなくちょっとこのところ、え、またこっちでも?と思ってしまって、食傷気味になってしまいました。それだけ売れっ子と言われてしまえばしかたないのかもしれませんが。もちろん俳優さんを非難しているわけではありません。

さらに、え?いいの?と思うくらいばっちり「作品をぬっていた」俳優、佐藤健。
「義母と娘のブルース」ではベーカリー麦田の店長であり、朝ドラ「半分、青い。」では主人公の相手役、萩尾律。

9月21日の「朝イチ」にゲスト出演していた佐藤健。
同時期に2つ以上のドラマに出演することを「作品をぬう」と言うのだそうです。
彼曰く、作品をぬうのは初めてのこと。意外とできるんだなと思った、と。
確かに役作り、切り替えも大変でしょうから、それがけっこうできた、と喜んでいるのか、ほっとしているのか。

いくらそういことができて、売れっ子の証明だったり、意外とできたりしても、基本的には、私は作品はぬってほしくないです。放送日が重なっていなければ、同時期の撮影はいいですけど。映画とかも。再放送は別です。
チョイ役でも気になるのに、主役の相手役とか、エピソードゲストとか、魅力が半減します。

一方は北川作品。
もう一方は森下佳子作品。「とんび」「天皇の料理番」だもんね。断れないよね。
とミーハー的に思いました。