よりみちねこのドラマカデミア

よりみち視点でドラマをアカデミアするよ。

2016年06月

こんにちは。よりみちねこです。

2016年春期もドラマも、最終回を迎えている。
7月からは夏期ドラマがはじまるにゃ。

今期は、あれもこれも観れなかった。
途中でつまらなくて、あるいは、
最初からどうしても観る気が起きなくて、 
というものもいくつかあった。

面白そうだからと録画してあるが、結局今まで観てないドラマもある。
どうだろう・・・。
おそらく観ないで消すことになるのかな。

よりみち的には、今期ドラマのダントツ1位が、
「重版出来」TBS 主演/黒木華 
こちらでもいくつかのエピソードを、感想とともにご紹介した。 
漫画家と編集者の、熱い(?)物語。
両側の人物が、それぞれ簡潔にうまく描かれていた。
表層的でなく、深層的に。
終わり方もよかった。納得。
うまくまとまっていた。
続編はないのかにゃ?

「ラヴソング」フジテレビ 主演/福山雅治 藤原さくら

描き方にいささか難があったようにも感じる。
吃音の女性と臨床心理士の出会い。
二人は音楽で結ばれる。
病気の発覚と別れ。
おいおい、そういう展開?の部分がこの病気。
声、出なくなるの?
いろいろツッコミどころはある。
初回から、福山の魅力が半減しているようにも見えた。
が、
こういう終わり方かぁ、と思えて、
とりあえず、観れるドラマだったかな。
藤原さくら演じる主人公の女性が、力強い。
そこが一番の魅力だったかもしれない。
彼女は、歌い続けていた。


「世界一難しい恋」日本テレビ 主演/波瑠 大野智

近頃めずらしい、静かなラブコメディ。
ラブコメディという枠には収まらないかもしれない。
刺激的なことは何も起こらない。
恋話だからといっても、どろどろもない。
みんな「いっしょうけんめい」で、透明だ。
そんななかで、主人公二人の恋が、いきつもどりつ不器用に進む。
その様子、流れが、コメディタッチで描かれていく。
二人は、互いを理解しようとする。
その様子も、極めて静かな雰囲気なのが、いい。
ちょっとした価値観の違いも、話し合って気づいていく。
な~んだ、そんなことか、と。
二人はただ今、同棲中。
こういう終わり方もいい。
レベルの高いドラマだと思う。


「奇跡の人」NHK 主演/峯田和伸 麻生久美子 住田萌乃(子役)
泣けるロックなドラマだった。
ただのヒューマンドラマではないところが、さすが岡田惠和の脚本だ。
エピソード感想をいくつかこちらへ書いているので、詳しくはそちらに譲る。
三重苦の娘が、次第に世間のことに気づいていく。
最終回は、本当に泣けた。
「奇跡の人」だったのは、娘ではなく、このバカな男、だったのだろう。
ロックの精神であきらめない心が、
三重苦の娘の心の扉を徐々に開いていった。
そこへたどり着くまでの、ひとりの定職にもついていないバカ男の物語。
終わり方もvery goodだった。
あきらめなければ夢は叶う、とはこのことかもしれない。
まさかの憧れの女性と結婚できたしね。


この4つのドラマに共通しているのは、
悪い人が出てこない、ってこと。本気で腹の底からの悪人。
それぞれがそれぞれの人生を生きて、
互いに認め合っている。
そして、がちゃがちゃしていない。
だから刺激がない、ということなのかな?
視聴率が低いのは。

登場人物がみな自律しているから、さっぱりしている。
一番うじうじしていたキャラは、
福山雅治演じる神代公平だったかも。
昭和な感じ?

上記4つのドラマ、いずれも終わり方が良かったので、
よりみち評価は高いにゃ


ドラマを楽しもう






 

こんにちは。よりみちねこです。

「奇跡の人」NHK プレミアムドラマ
日曜夜10時
脚本 岡田惠和


このドラマについて、まだ語っていなかったようだ。
そうだったかにゃ?

脚本家によると、「奇跡を呼び起こすドラマ」だそうだ。

ヘレン・ケラー と同じ三重苦の少女・海(住田萌乃)。
その母親・花(麻生久美子)
花にほれたバカな主人公・一択(いったく・峯田和伸)が、
サリバン先生みたいになって、二人を助けようと奮闘する。

都倉アパートの住人たちも、巻き込まれていく。

バカは柔軟で突飛、そして愛に溢れた解決策を見いだしていく、
そんなことが期待されてもいるようだ。

麻生久美子の演技がいまひとつのような気がするが、
まあ、元ヤンキーだし、大変な子育てをしながら突っ張って生きて来たのだろうと思いやれば、
まあまあ、理解もできようか。

脚本家・岡田惠和は、自身の描くドラマのなかに、必ずメッセージを入れ込んでくる。
もちろん、ドラマはその全体、全てがメッセージなわけだが、
そのストーリー展開とは別に、
普遍的な、あるいは、時勢への示唆的なメッセージというものがある。
「泣くな、はらちゃん」(長瀬智也/麻生久美子)でもあった。
戦争や原発事故の映像を、入れ込んだ。

5月29日放送の第7話で、ナイスなメッセージ(セリフ)があった。
ロックでありたい、と常日頃から言っている一択。
居酒屋で、友人・馬場(勝次涼)に愚痴を聞いてもらっているとき、
都倉アパートの大家・風子(宮本信子)がやってきて、
「ロックってなに?」と尋ねるシーン。

馬場がロックを語り出す。
「オレは、ロックの原点てのは、あいつじゃないかと思うんだ」と馬場。
「エルビスとか外人系?」と一択。
「外人は外人なんだけど、
少年。ほら、裸の王様に出てくるさ、
あれ?王様、裸じゃねぇ?なにやちゃってんの?笑っちゃうんだけどぉ、
じゃあ、オレも脱ごうかなぁ、みたいな。
みんながさ、分かってんだけどそれ言う?みたいなことをさ、軽くぽ~んと言うわけよ。
みんな平気なんですか?王様、裸じゃないんですか?みたいな言い方だとさ、
うるせぇよ黙ってろ、みたいな感じになっちゃって、
世界は動かないの。
王様は裸のまま、でもさ、あれ?王様はだかじゃね?
はだか、はだか、裸の王様、ヌードキングじゃね?みたいに言うとさ、
みんなが、だよな、そうだよね、みたいな風にして
世界は動くわけだ。
それが、ロックでしょうよ

「あれだよね、要するに空気の読めないやつだよね」
ロックが空気読んじゃだめ。空気をきりさく、のがロックでしょうよ。
ロックは、うるせぇって言い続けられないと。
だから、みんなが大きな音に慣れてる感じだったら、さらに爆音出すわけでしょう。
これでどうだ、うるせぇだろう、ざまぁみろ、みたいなね」


これが言いたかったのかぁ。岡田さん。
ロックの原点が「裸の王様に出てくる少年」って発想、すごいな。
今の世の中への物言いにもなってる。
さしずめ、裸の王様が現政権で、
少年は、声をあげ始めたゆとり世代の学生たち?

空気はね、読んでいいときといけないときがある、
と、よりみちねこも常日頃思っていた。
その話はまたいずれどこかでね。


ロックといえば、「泣くな、はらちゃん」(2013年日本テレビ)でもあった。
長瀬演じるはらちゃんが
♪世界中の敵に降参さ、戦う意志はない…♪
と歌って聞かせると、
ある親子の父親が
「いいねいいね、はらちゃんつくったの?」と尋ねる。
「いえ、言葉は神様にいただき、そして、メロディーは悪魔さんからいただきました」と答えるはらちゃん。
「おお、かっこいいなぁ、それ。ロックだね」
「ロックとは?」
「格好いいもののことだよ」

という遣り取りがあった。
このドラマのシナリオブックの「あとがき」は、
「あなたが笑えば、世界は輝くんです」
一緒に、この世界で頑張りましょう。

と締めくくられている。

余談だが、麻生久美子、
「泣くな、はらちゃん」の越前さん役のほうが、
よりみちねこは好きだ。

そうかぁ、
『「裸の王様」の少年』が、
ロックの原点だったのかぁ
妙に納得。
そして、うまい!


ドラマを楽しもう



 

このページのトップヘ